「言え!司、いま愛子はこの街に戻っているのか?」
「ぐるぢい、ぐるぢいって響。愛子姐なら自宅にもどってるってえ」
司の財布をぬきとり中に入っている車の鍵をとると、用の済んだ財布を司に投げ返した。
「司!車借りるぞ!」
病室を飛び出した。
「ひ、響!」
車に乗り込み愛子の家に向かった。
早く!
今はとにかく愛子に会いたい。
少しでも早く!
また振られても構わない。
君の気持ちが、いま君が幸せなのか知りたいんだ。
その時――――――――――歩道からボールを追いかけて少年が飛び出してきた。
俺は……
俺は大きく右に切り―――――――――――反対車線に飛び込んだ。
俺の視界は光で塗りつぶされた。
愛子。君に言い忘れていた事があるんだ。
ありがとうや、ごめんはよく言ったけど…
結局言わず終まいだった言葉…
愛子、愛してる。
三部「君のいない…」