何も言ってくれなかったけれど…それ以上に何かを言ってくれた気がした。



…私はまだ響の傍にいれるの?

止まっていたはずの涙がまた溢れ出した。

さっきとは違い、ただただ嬉しくて。




レイプされた。

あの日以来見続けてきた悪夢。

レイプされる過去を映す最悪の夢。

この日、朝まで響の腕の中で眠り…2度と見ることがなくなった悪夢。



ありがとう、響。

ありがとう。



いま、私は響という優しい風に包まれて生きている。

過去も、未来も、全てここからはじめられそうな予感の中で…




ニ部「優しい風」


第3部につづく