全てを聞いた司は徹を殴り、健太の胸倉を掴んで揺さぶった。
「なぜそんな大事なことを!おまえらは今日まで黙ってた!」
いつもちゃらけている司が…怒っている、目に涙を浮べ唇を噛み…怒っている。
「響が死ぬぞ!!死ぬんだぞ!もう二度と会えなくなるんだぞ!いいのか!…なあ!なあ!………答えろ!!健太!!」
胸倉をつかまれた健太は何も答えず唇を噛み、目を閉じていた。
2人にはどうすることもできなかったのだ。
司もそのことをわかりはしたが…それでも仲間の死という極限に追い込まれ最早自分が理不尽に八つ当たりしていることにさえ気づいてはいなかった。
「黙っていてわるかった。司、健太を放せ」
司に殴られ血が滲む唇を指で拭き、徹は前々から考えていた唯一の策を二人に話し始めた。
司は更にアクセルを踏み込んだ。
助手席には健太。
徹の案とはこうだった。
徹が愛子を探し出し、響がひた隠しにしていた真実を打ち明ける。
愛子がどうしてくれるかなんてわからないが藁にもすがりたい気分だった。
まだ今なら間に合う、それが徹と健太の見解だった。
倒れる前になんとかしなければ…。
司と健太は響を探す。
まだメンバーにバレてないと思っている響に知っていることを言い身柄を拘束、最悪の場合そのまま病院へ搬送――――あとは縛ってでも入院させる。
「死なせるか!死なせるもんか!待ってろ響!待ってろ」
司は頬を伝う涙を拭いもせず更にアクセルを踏み込んだ。