夢をみた。
遠い夢をみた。
まだ君といた頃の…
あの時のように笑って手を振っていた。
目が覚めた。
ここは……?
白い天井、病的な雰囲気をかもし出す空気…―――――病室か…。
「大学病院でさぁ、大将」
「司か……」
「ピンポーン!正解。あとで飴買ってやるよ。健太クンもいるぜ」
記憶が曖昧だ…
自宅の浴室で吐血して…倒れた…
「司と健太が運んでくれたのか?」
「大丈夫か?響」
首を回すと心配そうな健太の面が見えた。
「あぁ、夏バテだ。―――――なんて苦しすぎるな。その顔じゃあもう知ってるんだろ?病気のこと」
「…」
司と健太は沈黙で以って返した。
司の携帯の着信が鳴った。
「おい司、ここじゃあ切らないとマズイぞ」
「ごめんよぉ、徹ちゃんだ。出るからな、響」
言うが早いか受話した。
「えっ?愛子姐のいる場所がわかった? いま自宅に帰ってきてる?」
「―――――――――――愛子っ!!」