★☆アイコ☆★



 突然のお客さんは懐かしい友人だった。

 木下徹。

 私が1年前まで詞を提供していたバンドのリーダー。

 今でも大好きなあの人のバンドのギタリスト。


 徹は私がなぜ響と別れたかをわざわざ聞きに来たらしい。

 私は今でも響が好き。

 でも響は音楽でプロになろうとしてい

 私は絶対に邪魔になる。

 あの日、電話に出た由美の件はその後由美本人から謝られている。

 嫉妬でありもしないことを言ったのだと。

 偶然居合わせただけだと。

 私は一瞬でも響を信用してあげれなかった自分を恨んだ。

 
 そして決めたんだ。響のために別れるって。

 私といるときっとあの人はダメになる。

 それは別れるよりも辛かった。



 「愛子、急いでいるからよく聞けよ。響の病気と特異体質のことだ――――――」

 え?



☆★ヒビキ★☆


 司の携帯の着信が鳴った。

 「おい司、ここじゃあ切らないとマズイぞ」

 「ごめんよぉ、徹ちゃんだ。出るからな、響」

 言うが早いか受話した。

 

「えっ?愛子姐のいる場所がわかった? いま自宅に帰ってきてる?」




「―――――――――――愛子っ!!」




 ベッドから飛び降り通話を終えた司を組み伏せた。

 「言え!司、いま愛子はこの街に戻っているのか?」

 「ぐるぢい、ぐるぢいって響。愛子姐なら自宅にもどってるってえ」

 司の財布をぬきとり中に入っている車の鍵をとると、用の済んだ財布を司に投げ返した。

 「司!車借りるぞ!」

 病室を飛び出した。

 「ひ、響!」




 車に乗り込み愛子の家に向かった。


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