佐奈田愛子。高校卒業を前に他界してしまった祖母がつけてくれた私の名。
私はおばあちゃん子だった。
14歳のとき病気で逝ってしまった父親代わりにおばあちゃんとお母さんは惜しみない愛情で私を育ててくれた。
元々、独り子だった私は父親の死という現実から更に大事に育てられたような気がする。
母の職業はピアノの講師。
祖母は自営業。
私は何不自由ない生活の中で、BGMとして流れてくる母のピアノを聴き親しみ、いつしか自分でも弾く様になっていた。
祖母譲りか凝り性の私はピアノの他に作曲、編曲、作詞にも手を伸ばしていた。
高校を卒業する頃、その実力は恥じる必要のないレベルにまで成長していた。