初恋

 相変わらずな忙しい日が続いた。

 愛子に告られて(不慮の事故?)から1週間。

 その場はとりあえず 「考えさせて」 とだけ返事をして今日まで連絡をとっていない。

 「火曜の午後6時にこの前の喫茶店で」 そうメールで伝えておいた。

 「うん、わかった」 彼女にしては珍しく顔文字のない返信だった。

   正式なメンバーでもないわけだから今日まで会わずに済み、おかげでしっかり考えれた。

 徹には 「誰かに告られて1発OKじゃないなんて珍しいな。戸惑ってるおまえを見るのは初めてだよ。 ホントにすきなんじゃないか?愛子のこと」 なんて呑気なことを言われた。

 確かに初めての感覚だった。



 愛子を想うと胸が痛い。

 その傷みは日を負うごとに強くなっていっていた。

 誰かを愛したことがない。

 由美と付き合っていたのも、あいつが不特定多数の男と関係をもっていたからだ。

 俺はセフレ気分であいつの彼氏をしていた。

 だから、もしこの胸の痛みが愛情ならこれが初恋なのかもしれない…。




次ページへ