遂に言ってしまった。
過去に…乱暴されたことがある事実を…。
予想通り、響は沈黙してしまった。
いや、沈黙なんてものじゃない。
私の最悪な過去を知って、言葉もでないだけ。
―――絶対に嫌われた。
むぎゅっつ。
さっきより強く抱きしめられた。
恐る恐る彼の顔を見る。
―――寂しく笑っていた。
まるで…「もう大丈夫だよ」って。
私を助けに来てくれたかのように…彼は優しく、寂しく笑いかけてくれた。
覚悟していたのに…、嫌われる覚悟はあったのに。
「い…いいの?響。私汚い女なん…」
唇を重ねられて言葉が続かなかった。
続く言葉を忘れるほど、まるで今心が洗われる様に…
私の中に広がった不安感が消されていく。